実行関税率表の見方と税額の計算例|綿製Tシャツで解説【後編】
Q. 税関の「実行関税率表」はどこを見ればよいですか? 実際の税率を使った計算も知りたいです。
A. はい。【前編】関税と輸入消費税の基本に続き、今回は2026年10月31日版・実行関税率表を実際に見ながら、アメリカから日本へ綿製Tシャツを商用輸入する例で説明します。
1. 日本税関の実行関税率表を開く
日本税関:輸入統計品目表(実行関税率表)を開き、輸入申告日に適用される版を選択します。今回は2026年10月31日版・第61類(編物製衣類)を参照します。
関税率表は、分類番号・品名・基本税率・暫定税率・WTO協定税率・経済連携協定(EPA)税率・単位などに分かれています。一行に複数の税率があるのは、原産地や協定の条件によって税率が異なるためです。
画像で確認:税関の関税率表はこう見えます
まずは税関ホームページを実際に表示したスクリーンショットです。列が横に多く並ぶため、「統計番号」「品名」「基本税率」「WTO協定税率」の4箇所を探すところから始めましょう。Tシャツの6109.10-020の数値は、この後に必要な欄を抜粋して拡大表示します。

スクリーンショットの出典:日本税関・実行関税率表(2026年10月31日版)第61類。ページ上部を撮影したもので、後述のTシャツ該当行を直接切り抜いた画像ではありません。
2. 各欄の意味を理解する
| 欄 | どこを見る? |
|---|---|
| HSコード・統計番号 | HS分類の最初の6桁は国際共通。日本では3桁の統計細分を加えた9桁の番号を用います。 |
| 品名 | 材質・構造・加工(プリント等)に合う分類か確認します。 |
| 基本・暫定・WTO協定 | 税率の種類です。基本税率が常に適用されるとは限りません。 |
| EPA・特恵等 | 原産地・協定・原産地規則・必要書類等を満たす場合、異なる税率が適用されることがあります。 |
| 単位・他法令 | 枚数(NO)・重量(KG)などの申告単位や関係法令の確認に使います。 |
注意:「アメリカの店で買った商品」が必ず「アメリカ原産」とは限りません。製造原産地と関税上の原産地の要件を確認しましょう。
3. 実例:無地の綿製Tシャツの税率
今回はメリヤス編みの無地の綿製Tシャツ(異なる色の糸から成るものでも、なせんしたものでもないもの)を想定します。税関の第61類で61.09 → 6109.10(綿製)→ 020(その他のもの)の行を確認します。
| 実行関税率表(2026年10月31日版) | 記載内容 |
|---|---|
| 統計番号 | 6109.10-020 |
| 基本税率 | 11.2% |
| WTO協定税率 | 7.4% |
| 今回は使用する税率 | 7.4%(WTO協定税率が適用される条件を想定) |
プリントされた綿製Tシャツであれば、6109.10-010の検討が必要となり税率も異なります。税率7.4%はすべてのTシャツに共通する数値ではありません。
拡大図:綿製Tシャツの該当行はここです
公式の表は横幅が非常に広いので、例に使う箇所を読み取りやすく抜粋・再構成しました。下の囲みはスクリーンショットではなく、税関の掲載情報をもとに当社で作成した解説図です。
4. 綿製Tシャツを商用輸入した場合の計算
ここでは、一般税率による計算を示すため、課税価格を30万円(20万円超)としています。輸入申告の税関レートで換算済みの円建て金額で、酒税などの追加内国消費税がない場合の例です。
| 輸入費用 | 金額 |
|---|---|
| Tシャツの商品代金 | 270,000円 |
| 日本到着までの国際運賃 | 25,000円 |
| 保険料 | 5,000円 |
| 課税価格(CIF相当) | 300,000円 |
| 適用する関税率(今回の例) | 7.4% |
① 関税
300,000円 × 7.4% = 22,200円
② 輸入消費税(国税分)
消費税の課税標準:300,000円 + 22,200円 = 322,200円 → 322,000円(1,000円未満切捨て)
322,000円 × 7.8% = 25,116円 → 25,100円(100円未満切捨て)
③ 地方消費税
25,100円 × 22 ÷ 78 = 約7,079円 → 7,000円(100円未満切捨て)
④ 税金合計
関税22,200円 + 消費税25,100円 + 地方消費税7,000円 = 合計54,300円
商品代金・国際運賃・保険料300,000円に税金54,300円を加えると、354,300円です。これは通関手数料、運送会社の立替手数料、日本国内配送料、別途サービス料金等を含まない金額です。
図解:商品代金から輸入時の総額まで
300,000円
22,200円
25,100円
7,000円
税金部分は合計54,300円です。通関手数料・立替手数料・国内配送料などは別途必要となる場合があります。
5. 間違えやすい4つのポイント
商品名だけで税番を決めない:素材、編み方、プリントの有無などにより分類が異なります。
発送国と原産国を混同しない:米国の店舗から発送されても、製造原産地は他国かもしれません。
最も安い税率を自由には選べない:WTO・EPA・特恵税率の適用条件を確認します。
少額貨物には別の制度がある:1万円以下の免税や、一定の貨物での簡易税率、対象から除外される商品があります。税番が不明な場合は税関の事前教示制度も利用できます。
公式資料と関連記事
税関:2026年10月31日版・第61類 / 税関:税率決定の流れ / 税関:税額計算
【前編】関税と輸入消費税の基本 / 関連記事:関税はいくらかかる?
※2026年11月時点の確認情報です。申告時には最新の実行関税率表をご確認ください。品目分類・原産地・適用関税率・課税価格は実際の取引条件によって決まり、税関の判断が優先されます。

